2023年も半分が過ぎ去り、今年もこの季節がやってきました。
そう、Mark Rosewater氏(以下マロー)によるデザイン演説のお時間です!
え?そんなん知らんわって?
デザイン演説(英語原文:STATE OF DESIGN)は、「昨年のマジックのデザインはどうだったか」という質問に対して全体および各セットの良かったところと教訓について語られたものです。
本記事ではマロー氏のデザイン演説の内容に対して、筆者が感じたことを極めて個人的な見解で記載しています。暇つぶし程度にでも読んでいただければ幸いです。
また、みなさんも最近のセットに対して色々な意見をお持ちかと思いますので、何かコメントを残していただけるとうれしいです。
対象セットは6種類
「デザイン演説2023」の対象セットは以下の6種類です。各セットの説明は割愛していますが、当ブログや公式記事も載せていますのでどんなセットなのか知りたい方はあわせて読んでみてください。
- 団結のドミナリア 2022年9月9日発売
- Unfinity 2022年10月7日発売
- 兄弟戦争 2022年11月18日発売
- ファイレクシア:完全なる統一 2023年2月3日発売
- 機械兵団の進軍 2023年4月21日発売
- 機械兵団の進軍:決戦の後に 2023年5月12日発売
団結のドミナリア
Unfinity
兄弟戦争
ファイレクシア:完全なる統一
機械兵団の進軍
機械兵団の進軍:決戦の後に
マジックのデザイン全体
良かったところ
セットそれぞれが一貫した物語を伝えながらも、それぞれの特徴があった
ブロック・モデルを離れてからの我々の課題の1つは、セットにメカニズム的特徴を持たせながら一貫した物語を描くことであった。今年のセットは、各セットにプレイ的にもクリエイティブ的にもそれぞれの雰囲気を持たせながら物語の中心(ファイレクシアの侵攻)をぶれさせないといういい仕事をしたと思う。実際、各セットでファイレクシアを異なったメカニズム的文脈で扱っているので、4つの本流のセットから4枚のファイレクシアのカードを見せたとき、どれがどのセットのカードなのかは見て充分わかるようになっている。かつては、我々は物語を単一のメカニズム的特徴で扱うことが多かった。この新しい手法はより繊細さをもたらし、プレイヤーが物語要素をデッキ構築やゲームプレイ上で表現する方法に柔軟性を与えている。
まず4つの本流セットに収録された新メカニズム(再録除く)をおさらいしてみましょう。
セット | 新メカニズム |
---|---|
団結のドミナリア | ・後援 ・先読 ・麻痺カウンター |
兄弟戦争 | ・試作 ・パワーストーン |
ファイレクシア:完全なる統一 | ・毒性 ・堕落 ・ミラディンのために! ・油カウンター |
機械兵団の進軍 | ・バトル ・賛助 ・培養 |
確かに各セットのストーリーの雰囲気に合ったメカニズムとしてデザインされていると感じます。ただ、スタンダードの最新環境を見ても上記メカニズムをキーとしたデッキが存在していないのも事実です。理由としてはブロック制の廃止によってセット間のシナジーを持ったメカニズムが無くなってしまったからでしょう。
筆者としては今回の件を踏まえて、ブロック制を廃止したままとするのかどうか、廃止したままであれば具体的にどう改善していく予定なのかを知りたいところです。
セットのコンセプトについて大胆だった
長い間続いているゲームへの不満の1つが、ゲーム・デザイナーが現状に満足していて限界に挑んでいないというものである。今年はそれには当てはまらかった。『団結のドミナリア』は伝統的寄りのセットだったが、『兄弟戦争』『ファイレクシア:完全なる統一』『機械兵団の進軍』は大胆なデザインをしていた。今年の2大失敗といえる『Unfinity』と『機械兵団の進軍:決戦の後に』でさえ、それぞれ新しいものに取り組んでいたのだ。
広く見れば色々と試験的かもしれませんが(『機械兵団の進軍:決戦の後に』の収録枚数やパック枚数や『Unfinity』のステッカーなど)斬新なデザインをしたように感じています。
重要なのは公式として今回の振り返りを踏まえて、今後どのようにフィードバックしていくのかというところですね。筆者としては新セットの発売間隔が短すぎて十分に遊びきれなかった(各セットの印象が薄い)というのが実態です・・・
以下2大失敗という位置付けw
・Unfinity
・機械兵団の進軍:決戦の後に
教訓
セットがクリエイティブ的に偏狭的だった
これはセットの懐かしみとの裏表である。今年は、テーマにおいて少しばかり偏狭的だったと思う。ドミナリアや兄弟戦争、ファイレクシアについて聞いたことがなかったり、あるいは多元宇宙の次元というものを知らなければ、今年は骨の折れる年だっただろう。ジャンルやよくある物語をもとにした単純なトップダウン・セットは作っていなかった。今年のどのセットにも、少しばかり「かつての …… 」という表現が含まれていて、マジックのように進化の早いゲームにおいてはそれは理想的なことではなかった。新規プレイヤーが大量の情報をあさることなく理解できるものを見つけられることは重要なのだ。
まぁマジック30周年記念という点を踏まえたセットにしたかった・・・のでしょうからある程度は致し方ないと思います。確かに新規プレイヤーから見ると「ウルザって誰?」「ファイレクシア?なにそれ?」などストーリーやキャラクターに関する情報を把握するのが困難だったかと感じますよね。これに関しては公式サイドから補完する情報をパンフレットなりWeb記事なりで公開するべきだったと考えています。
プロモとかキャンペーンは多かったけどな
セットが通常よりも賛否両論だった
私は、個別のカードやテーマやメカニズムが賛否両論なことは全く問題視していないが、セット全体がどの程度賛否両論なのかには注意する必要がある。セット、特に本流のセットは、すべてのマジック・プレイヤーに何かを提供する製品であるべきである。今年のセットの大胆さとそれらの展望がはっきりしていたことは評価しているが、我々はあまりにも多くのプレイヤーが「このセットは手を出さないでおこう」と思うような本流のセットを作らないようにしなければならない。
具体的なことが何も分からないので、賛否それぞれの代表的な意見を一緒に載せてもらいたかったです。(後述のセット毎の内容がそれに当たるのかもしれませんが)
セット間にもっとシナジーが必要だった
これはブロックがなくなってから継続しているテーマである。新セットが出たときにデッキを更新し続けられるように、連続したセットにはメカニズム的重なりが必要である。一部のメカニズム的テーマ(アーティファクト、ファイレクシアン、など)を今年の複数のセットを通して扱ったが、あまりに線形的で単一のセットに集中したテーマも扱っていた。各セットには扱わなければならない多くの異なった要素があるのでこの問題を解決するのは難しいが、各セットが独立してリミテッドでプレイされる世界におけるうまいやり方を見つける必要がある。
前述の内容と少し被りますが、ブロック制を廃止(単一のセットごとに発売)してから数年、すべて同じことが起きていると感じています。プレイヤーとしては新メカニズムを中心としたデッキを構築したいものの、そもそもメカニズムを持ったカードの収録枚数が1セットだけだと少ないのが実態です。
そもそもブロック制を廃止した理由は?
個人的な見解としては、今後発売予定のセット(最低3-4セット)のストーリーおよび収録されるメカニズムを最初に決めておき、各メカニズムにシナジーを持てるようにデザインする必要があるかと思います。ただ非常に難解な話かと思うので、やはりブロック制の廃止および十分なデザイン帰還を設けるために発売セットの間隔を長めにする方が良いでしょう。
団結のドミナリア
良かったところ
プレイヤーはこのセットの『インベイジョン』的雰囲気を楽しんだ
『ドミナリア』は『アルファ版』をもとにしていて、このセットは新たなファイレクシアの侵略を扱うので、『団結のドミナリア』のセットデザイン・チームはドミナリアを舞台にしたもう1つの人気のセット『インベイジョン』をモデルにしようとした。キッカー、版図、色を散らすというテーマ、このセットは様々な形でかつてのセットをメカニズム的に振り返っていた。プレイヤーの多くがこれを称賛した。
インベイジョン的な雰囲気とは?
インベイジョン的な雰囲気は良く分かりませんが、確かに多色化(多色の伝説クリーチャー、版図、ペインランドなど)を推しているセットにはなっていました。スタンダード環境としては多色土地が弱すぎたため喜ばれた位でセット自体を称賛している意見はあまり見聞きしなかったような・・・
シェオルを産み出したセットという点で有名だね
過去の参照は称賛された
ドミナリアは、特に最初の10年にわたって、ほとんどのマジックのセットの舞台だった。『団結のドミナリア』はドミナリアの過去のキャラクターや物品や出来事を多く参照することで、その懐かしさに触れていた。これには、『レジェンド』で登場した伝説のキャラクターを再デザインする「語り継がれる伝説」が含まれている。多くのプレイヤーはセット内のこれらの言及を肯定的に受け取った。
正直なところ、筆者としては「語り継がれる伝説(ボックス・トッパー)」のカードはどれも「誰?」というキャラクターが多くて、何も魅力を感じていませんでした。昔からずっと触れているプレイヤーなら魅力的に感じたのでしょうかね?
スタンダードで使えないしね
このセットのリミテッドは楽しかった
このセットはテーマのためにリミテッドが少し遅くなり、それによって組み上げることができるようになった。これと、他の色を簡単に散らすことができることから、プレイヤーから高評価を受けることになるダイナミックなリミテッドのゲームに繋がった。最も評判になったリミテッドのテーマは、防衛テーマだった。
リミテッドは確かに楽しかったと記憶しています。
教訓
一部のプレイヤーにとって、このセットは少しばかり一般的に感じられた
『団結のドミナリア』について私が受けたよくある不満の1つが、他の本流のセットに比べて少しばかり味気なく感じられるというものだった。多くのプレイヤーは「安全」な、つまり、たしかにプレイ感もよくて使えるカードもあるけど、記憶に残らないセットだと言っていた。このセットには充分な革新がなかったのだ。
こちらに関しては、団結のドミナリアだけでなく他のセットも同様だと思っています。
このセットには多くのフレイバー関連の問題があった
このセットには多くの伝説のクリーチャーがいたが、それらにまつわる物語がないものが多いと感じたプレイヤーがいた。物語の鍵となる潜入工作員要素がセット内で描写されていないという不満を持つ者もいた。そして、プレイヤーはウェザーライト号の乗組員がもっと物語に関わってほしいと願っていたのだ。
これはどちらかというと古参プレイヤー視点からの不満かと思いますが、確かにスクイーさんとかストーリーで何か触れられていたっけ?というキャラクターが多かったことを指しているのでしょう。ストーリーそっちのけでエイッとカード化した匂いが感じられますよね。
もしデザインにかける時間が足りなかったのであれば・・・セットの発売間隔を長く(デザイン期間を十分に確保)した方が良いのかもしれません。
リミテッドにはいくつかの問題があった。
他の色のマナを降らすことが簡単すぎると感じて、多くのプレイヤーが緑版図系(緑を基礎として他の色を色々と散らす)をプレイしていると主張したプレイヤーがいた。また、同じ局面が少しばかり多くなりすぎるという懸念もあった。
確かに緑軸で多色のレアをあれこれ採用して押し付けるデッキが作りやすかった印象はありますが、この辺はボーナスシートがある他セット(レアゲーになりやすい)よりも全然問題無かったと感じています。
Unfinity
良かったところ
多くのプレイヤーがこのセットのフレイバーやユーモアを大いに気に入った
多くのプレイヤーは、世界構築、カード・コンセプト、アート、カード名、フレイバー・テキストまで、このセットのクリエイティブのファンだった。このセットにはまた、熱心なプレイヤーが楽しんで見つけられる、多くのイースター・エッグもあった。
宇宙ショックランドなど「宇宙」をテーマにしたセットでプレイヤー・コレクター双方から非常に人気のあったセットだったという印象です。2大失敗セットに挙げられていましたが、筆者としては印象に残っている良いジョークセットだったと感じています。
このセットのリミテッドに関して肯定的なコメントが多かった
外部強力やミニゲーム、奇妙な個別のデザインまで、このセットでは多くのプレイヤーが楽しめる方向で限界に挑んでいた。このセットの主なメカニズム2つであるステッカーやアトラクションは、独特のリミテッドの相互作用を産んだ。
Unfinityのリミテッドは未プレイのためコメントは差し控えさせていただきます。
カードの半分以上がエターナルで使えることを称賛するプレイヤーがいた
これは非常に意見が分かれることだが、多くのプレイヤーは、このセット内のカードの一部がエターナル・フォーマットでプレイできるという事実に興奮しているように見えた。過去の「アン」セットの最大の負債の1つが、もっともプレイされているフォーマットで使えないことだった。「アン」セットのファンの多くは、これまで使えなかったフォーマット、特に統率者戦でカードをプレイできることに興奮したのだ。
「どんぐりスタンプ」かどうかという例のアレですね。確かにジョークセットという射程範囲外から急に「リーガルです!」と自身満々にやってくるカードも多く、賛否両論分かれたことでしょう。(従来、ジョークセットの全てのカードはカジュアルフォーマットのみで使用できました)
教訓
セット内にエターナルで使えるカードが入っていることを非常に嫌がるプレイヤーもいた
過半数のカードがエターナルで使用可能なことは、論争の焦点になった。多くのプレイヤーは、製品の本筋から外れていると感じた。気に入るかどうかに関わらず、プレイヤーは使用可能でないカードを銀枠にすることを好むという一般的同意があった。どんぐりは一見してわからず、何がエターナルで使用可能で何が違うのかを伝えるのが難しくなった。
前述の内容と被りますが、エターナルで使用できるカードの見分けに不満が多かったのであれば、どんぐりを従来の銀枠仕様に戻すだけで良いかと思います。
このセットは複雑さが多すぎた
主なメカニズムであるステッカーとアトラクションはどちらも、把握するのにかなりの集中を要する。加えて、このセットには多くの1枚だけのカードがあり、プレイヤーが通常意識しないことを意識させられることになる。これらすべてが、多くのプレイヤーにとって負担となりすぎるプレイ環境に繋がった。
筆者の個人的な視点としては、非常に斬新なメカニズムで面白かったです。(挑戦的なデザイン)ただ紙でプレイする上で情報を把握しづらいというのも事実ですよね。それこそMTGA(デジタル)で実装されていれば面白かったかもしれません。
ステッカーには複数の実装上の問題があった
ステッカーは小さい。すぐになくなってしまう。糊はあまり強くないので、再利用しようとしてもすぐにつかなくなる。ステッカーを一回剥がしたら元のシートに戻せない。これらすべてが、プレイ上の障壁になった。このことは、多くのプレイヤーがほとんどのステッカー・カードがエターナルで使用可能だということに不満を言うことにも繋がった。
これはテストプレイ時に気づけることだと思います。デザインは斬新だけど実用性に欠けるというよくある試作品の感じで世に出てしまった結果でしょう。薄い磁石などを用いてくっ付けるなど幾らでも別なアイディアも出てきたかと思うので非常に残念です。
でもトークン的な立ち位置と思っていたステッカーが結構売れたんだよねw
兄弟戦争
良かったところ
多くのプレイヤーはマジック最大の物語の1つを振り返るセットが作られたことを喜んだ
プレイヤーは、自分が知っている過去のキャラクターがカード化されたことを喜んだ。物語のカードを通した伝え方を楽しんだ。プレイが、彼らが知ることになる物語の雰囲気にあっていることを楽しんだ。また、デザインがアーティファクトを現在のデザイン技術を使いながら過去らしさを感じられるものにしたことを楽しんだ。この好例としては、ほとんどのアーティファクトが単色の起動コストを持っていても不特定マナ・コストになっていることが挙げられる。
ウルザやミシュラのカード化など初期のマジックを体験したことがあるプレイヤーにとっては涙もののセットでしたよね。旧枠アーティファクトのカードを含めてセット全体がアーティファクトまみれとなっているのも印象深いです。
メカニズムは全体として好評だった
試作はクールな新メカニズムと受け取られた。アーティファクトの蘇生はフレイバーに富んでいた。合体カードは派手でクールだった。パワーストーンはついにメカニズム的特徴を手に入れた。全体として、プレイヤーはデザイン・チームが物語や次元にふさわしい一連のメカニズムを作ったと考えた。
確かに好評だったのかもしれませんが、単一セットで終わってしまったため構築フォーマットではあまり見かけませんよね。
ボーナス・シートを増やした
ボーナス・シートはすべてがアーティファクトであることでそのセットらしさを反映するいい仕事をした。旧枠は、物語の時期を再現する助けになった。ファンからの最大の不満は、このシート上のカードがリミテッドのゲームプレイを向上させるために選ばれていたことだった。このシートの多くのカードは既存のアーキタイプを強化したり、セット内の本体のカードとのシナジーのある新しいドラフト・テーマを導入したりするものだった。
前述のとおり、ボーナス・シート(旧枠アーティファクト)はセットの世界観ともマッチしていてそれ自体は非常に好印象でした。愛用のアーティファクトを旧枠にお着替えするプレイヤーの増加や、ミシュラのガラクタなどが再録によって集めやすくなったのを今でも覚えています。
ただ、ドラフト・ブースターにもボーナス・シート枠があったため、リミテッド環境がアンバランス(アーティファクトなので基本どのデッキにも入る)で面白くないと感じるプレイヤーが多かったことも事実でしょう。
ドラフト・ブースターにボーナス・シートを入れなきゃ良かったのに
(開封する人はみんなセット or コレクター・ブースターを買うでしょ)
教訓
元の話を知らなければ、このセットに馴染むことは難しかった
兄弟戦争について何年も語ってきた長年のファンにとっては、このセットはずっと聞いていたものがカード化される心躍る機会だった。一方、その物語に詳しくなければ、この構造の原動力がその物語にあるので、このセットに馴染むことは難しかった。あまり熱心でない多くのプレイヤーは、よく分からなくてこのセットを理解するのが難しかったと訴えている。
前述のとおりなので割愛します。
巨大ロボをテーマにしたセットにしては、リミテッドは少し速かった
多くのプレイヤーは、このセットは『エルドラージ覚醒』のようなプレイヤーが巨大クリーチャーを揃えられるようにアグロを抑えた環境でドラフトされるだろうと考えた。その一部は可能だったが、強力なアグロのアーキタイプの存在が多くのプレイヤーの望みを打ち砕いた。
フルアートの基本土地(巨大ロボ)のデザインが悪かったのでは?個人的には巨大クリーチャーで戦うイメージが全く無かったためちょっと分からないです。
トランスフォーマー・カードは場違いに感じられた
このセットは巨大ロボがテーマなので上張りとしてのトランスフォーマーはある意味で筋が通っていたが、多くのプレイヤーにとってこのセットの中核は懐かしさだった。それらのプレイヤーは、別IPのカードが雰囲気を無視していると感じた。
これもデザインの段階で誰もが思うことなのでは?と感じます。確かにロボつながりはあるものの、他IPなのでSecret Lairで出すのが妥当だったでしょう。スタンダードのデッキに入れようと思っても使えないカードでしたしね。
トランスフォーマーを収録するって言ったやつは誰や!
(どうせ大人の事情=親会社でしょ)
ファイレクシア:完全なる統一
良かったところ
プレイヤーは全体として毒の再利用を楽しんだ
感染や堕落や増殖でなく毒性にしたことで、リミテッドと構築の両方の環境において毒の使い方に多様性が生じた。『ミラディンの傷跡』ブロックの毒は、すべてつぎ込むかまったく使わないかだった。『ファイレクシア:完全なる統一』での改良版では、毒の使い方にかなりの繊細さをもたらし、(感染ファンの中には感染が再登場しなかったことを悲しんだ者もいたが)全体としては好評だと受け止められた。
え?毒性メカニズムが好評だったのですか?私は構築/リミテッドともに不快(盤面無視して勝てる)以外の感情が生まれなかった方なので非常に否定的な考えです。
ある意味単一セットでの収録で助かったんだけどね
油カウンターの使用によって、称賛される独自の環境が生まれた
マジックのセットでは、大抵の場合、リミテッドで扱いやすいように主なカウンターは1種類にしている。ほとんどのセットでは、+1/+1カウンターである。時折、−1/−1カウンターを使うセットを作ることもある。『ファイレクシア:完全なる統一』では新しく、油カウンターを試した。これによって、増殖がこれまで2回(『ミラディンの傷跡』ブロックと『灯争大戦』)と異なる働きをできる、新しい種類の「カウンター関連」環境を作ることができた。油は様々な機能を持つことができるので、中には把握しにくいと言うプレイヤーもいた。また、油でなく既存のカウンター(最も多く指摘されたのはチャージ・カウンターであった)を使うべきだったという指摘もあった。
油カウンターは別に違和感無かったので今のデザインで良かった派です。
セットを通してファイレクシアンが充満していると感じられた
ファイレクシアンは、マジックの最古の敵である。(マジック史上2つ目のエキスパンションである『アンティキティー』で登場している。)多くのプレイヤーは、このセットが、ゲームプレイからメカニズム的テーマ、アートやカード全体の雰囲気までファイレクシアンらしさをまさに再現していることを楽しんだ。
ダニ含めてファイレクシアン一色でしたよね。セット全体を通してファイレクシアンの勝ち組感が出ていてセットのイメージどおりになっていたと感じました。
教訓
ファイレクシアンのフレイバーが不快だった
ファイレクシアンを愛しているプレイヤーもいるが、賛否が分かれるキャラクターである。つまり、一部のプレイヤーはここまで述べてきたすべてのもののせいでこのセットを嫌っていた。それらのプレイヤーにとって、このセットはあまりに絶望的で「キモい」もので、全体がそうでなければよかったと思っていた。
これは個人で大きく分かれる好みの話のようなのでノーコメントです。
このセットは(スタンダードの範疇で)あまりに孤立的だった
このセットのメカニズムは、特に毒のせいで、このセット内にあるものにかなり依拠していた。それらを基柱としてデッキを組もうとするなら、スタンダード内の他のセットのカードを大量に入れることは難しかった。多くのプレイヤーや毒カウンターを与えたり毒を参照したりするカードを増やしてほしいというファンは、この年の他のセット、特にファイレクシアンが主な敵である『機械兵団の進軍』にもファイレクシアのメカニズムを広げてほしいと主張した。
他のメカニズム関連と被りますが、単一セットで収録されている他の新メカニズムも同様でしょう。以前、筆者が「ゼンディカーの夜明け」で再録されたキッカーを主軸にしたデッキを組んだのですが、結局デッキが更新できずまま朽ちていきました。
リミテッドが速すぎた
もう1つ多かった不満は、リミテッド環境があまりにアグロ寄りだ、というものだった。特に毒カウンターなど、ゲームが速く終わりすぎるので掘り下げることができないとプレイヤーが感じる多くのテーマがあった。
毒性メカニズムが悪い。テストプレイで感じられるレベルでしょう。
機械兵団の進軍
良かったところ
非常に頑健で楽しめるメカニズムがあった
『機械兵団の進軍』では、多くのことがメカニズム的に進行していた。新しいカード・タイプがあり、両面カードの様々な使われ方があり、複数の組み合わせメカニズムがあった。バトルはクールな新機軸だと言われ続け、多くのプレイヤーが他のセットでも見たがった(ただし横向きなことで読みにくいという声も多く届けられている)。培養とファイレクシアンの変身カードは、ファイレクシアンらしさを表現するいい方法だと受け取られた。英雄譚になるファイレクシアンの法務官は特に好評だった。プレイヤーは賛助のゲームプレイを気に入り、召集の再登場を喜んだ。組み合わせた伝説のクリーチャーも大ヒットだった。全体として、一般的な評価はメカニズムの組み合わせは素晴らしいというものだった。
バトルはカードタイプの追加ということも含め、非常に面白いメカニズムと感じました(構築&リミテッド双方)。他のセットでも収録しやすいデザインだと思うので再録されることを期待しています。
このセットのリミテッド環境はとても楽しかった
私が受けた中で最も多かった反響には、楽しいリミテッド環境に関わるものがあった。非常に深みがあり、何度も繰り返してプレイできる。上述のすべてのメカニズムはお互いにいいシナジーを持っており、プレイヤーは様々なアーキタイプを楽しんだ(中でも「両面カード関連」が際立っていた)。『機械兵団の進軍』を歴史上最高のリミテッド環境の1つだと言うプレイヤーもいる。ボーナス・シートがリミテッドのゲームプレイを強化するためにうまく使われ、シート上の多くのカードが様々なドラフト・アーキタイプを強化するものであることへの不満の声も多かった。結局、伝説のクリーチャーのテーマは多くのプレイヤーに肯定的に受け取られた。
筆者としてはボーナス・シートが無ければ尚良かったのでは?という印象です。
多くのプレイヤーはこのセットの広大な範囲を大いに気に入った
マジックでは、範囲よりも前の物語については語ってきておらず、多くのプレイヤーはその広さを楽しんでいた。彼らは様々な次元やそこにいるキャラクターやクリーチャーについてのあらゆる言及を見ることが好きだった。ほとんどのマジックのセットにはイースターエッグ(隠れたメッセージ)があるが、これほどの量ではなかった。大量に受けた反響の1つに、各カードの舞台になっている場所を識別する助けとなる透かしのような何かがあればよかったというものがあった。
広大すぎてカードを見てもどの次元のものか分かりづらかった(バトルはカード名で分かる)です。
教訓
1セットで扱うには物語が長大すぎた
プレイヤーは範囲が好きなものだが、1セットだけでは扱いきれないと感じたプレイヤーが多かった。よくある反響が、2セットだったらよかった(あるいはそれ以上)というものだった。入れられるカードの枚数で扱い切れる以上のことを詰め込んでしまったのだ。
次の見解と同様です。
ファイレクシアンが簡単に負けすぎた
この不満は前のものに関連している。侵略とそれへの反応すべてをセット1つで扱わなければならないので、ファイレクシアンが攻撃してすぐに敗北したかのように感じられたのだ。ファイレクシアの脅威は10年以上かけて組み上げられてきているので、すぐに負けたことはファイレクシアンのファンたちにとって不満がたまるものだった。2セット使えれば、第1セットではファイレクシアンが成功して、第2セットで我らが英雄たちの驚くべき勝利を描いていたことだろう。
これは本当にそう思います。3セット以上(各法務官のその他セットでの働きなど)またいでようやくファイレクシアが全次元へ進行・・・と思いきや1セットで一気に敗北してしまいましたよね。ストーリーはともかくセットとしての収録は分けた方が良かったと思います。
リミテッドがあまりに複雑で、少しばかりボム寄りだった
プレイヤーは全体としてこのリミテッド・フォーマットを楽しんでいたようだが、よくある不満としては少しばかり詰め込みすぎ、勝利がセット本体にせよボーナス・シートにせよ1枚のボムを引くことによることが多すぎるというものだった。(この問題とは別に、それは一般的に高評価だった。)
筆者としてはこちらの考えの方に激しく同意しています。折角アドバンテージを取って有利に進めても1枚のボムレアで負けてしまうケースが多かった印象です。
機械兵団の進軍:決戦の後に
良かったところ
プレイヤーはウィザーズ・オブ・ザ・コーストが実験していることに喜んだ
何年もの間、リミテッドを考えずにセットを作ってほしいというプレイヤーの声があった。また、通常はできないことをできるようにするため、我々が製品を新しい見方で考えているという事実を喜んだプレイヤーもいた。
広い視点として、このような実験的な製品を作ることには賛成です(1-2年に1製品位なら)。結果をきちんと振り返ることができれば、トライ&エラーでより良い製品を作っていくことができるでしょう。
多くの楽しい個別のデザインがあった
このセットについての肯定的な評価のほとんどは、カード個別の話になる。多くの楽しいデザインがあったのだ。特に一群のカードがそれに当てはまる。かつてプレインズウォーカー・カードになっていた伝説のクリーチャーだ。多くの統率者戦プレイヤーは、お気に入りのキャラクターを統率者として使えるようになったことを楽しんでいた。
確かにプレインズウォーカーのカードは統率者に指定できないので、統率者戦プレイヤー視点では嬉しい変化と考えることも可能です。ただ、公式側として統率者戦の視点で良かったところにするのは少々ずるいと感じました。スタンダードやパイオニア、モダンなどの構築戦に対してデザイン的にどうだったのかを深く考えて欲しかったです。
教訓
このセットは小さすぎた
50枚は1セットには少なすぎた。ボックスを開封したら被りが多すぎ、またこのセットは掘り下げる余地が少なすぎた。
私もパックやボックスをたくさん開封しましたが、すぐに開封が終わるので50枚は少なすぎるという考えです。ただ、だからといって全てのカードにショーケースやエッチングFoil、ハローFoilを用意して欲しいとは言っていません。これらのカードは特別なカードにのみ用意して欲しかったです(神話レアのみなど)。
また、枚数は良いとして後述のパック価格が諸悪の根源とも感じています。
ほとんどのプレイヤーは、少ない枚数に同じだけ支払いたくなかった
おそらくこの不満が一番大きかった。コモンなしのブースター販売を試したが、これはうまく行かなかった。「通常通りの枚数がほしい」あるいは「安くしてほしい」の2種類しか反響はなかった。
これは何故「今までのパック価格で販売しよう!」となったのか疑問です。誰でも同じ考えになるでしょう。
「通常通りの枚数をパックに入れる」は、カードの種類が少なく被りがより多くなるので無しでしょう。結果的に通常よりも安くして販売すれば市場ではもう少し高評価だったと考えています。
このセットは物語中心と言っていたが、物語上このセット内で起こったことはそう多くなかった
このセットの前提は、今回のファイレクシア戦争の戦後を描くというものだった。そう、多くのプレインズウォーカーはその灯を失い、ケンリス王とリンデン女王は殺されたが、それ以外のことはカードでは描かれていなかった。プレイヤーは注目のストーリー・カードやオンラインの小説を期待していたのだ。このセットでは、この戦争の戦後を描くという前提通りのものを提供すべきだった。
「決戦の後に」はその後を描いたセットですという宣伝だったにもかかわらず、ほとんどストーリーやカードで描かれていませんでしたよね。パッケージのイラストや突然収録されたサルカンなど???となる方も多かったのではないでしょうか。
客観的にみると何か急いで開発したセットという臭いが強く、しっかりとデザインする時間を確保できていなかったのでは?と感じる次第です。(昨今の発売間隔の短さも含め)
多くのプレイヤーは、プレインズウォーカーが灯を失ったことを不満に思った
プレインズウォーカーはマジックにおいて常に特別なキャラクターである。多くのプレイヤーは、なぜ我々がプレインズウォーカーの灯を取り除くことにしたのかを理解しなかった。マジックには多くの伝説のクリーチャーがいるのに、なぜもっとも特別なキャラクターのグループを、もっと普通の存在にしてしまったのか。また、完全なリストが存在しないということは、プレイヤーは自分のお気に入りのプレインズウォーカーの運命がどうなるのか不安を抱えて待たなければならないということである。
こちらに関しては、灯を取り除くストーリーとする時点で当然不満も多くなることが予想できたことでしょう。将来的なストーリー展望を踏まえての大きな変革点だったので”あれば”、プレインズウォーカーの灯が失われたことが今後のストーリーをより面白くすることに繋がることを我々に見せて欲しいと思います。そうなっていけば徐々に評価が変わっていくかもしれません。
おわりに
マロー氏のデザイン演説2023(筆者コメントを含む)を紹介しました。こちらの内容を読んで皆さんはどのように感じたでしょうか。筆者の考えとしては、大きく3つの点について今後フィードバックしていって欲しいなと強く感じました。
- ブロック制の復活の再検討が必要では?
- 各セットのデザイン期間を確保できているのか?
- 封入枚数減らしたら価格も安くしようね
最後にマロー氏のコメントとして以下記載されていたので、マジックに対する考えはSNS上に英語で公開するとよいでしょう。
いつもの通り、今日の記事やこの1年間のセットに関する私の考えについての感想を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(Twitter、Tumblr、Instagram、TikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。
それでは、また。
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